とうとう最終回を迎えた蓮沸美沙子さん主演のドラマ『37.5℃の涙』。
病児保育をテーマに、現場で起こる様々な問題、主人公自身の心の闇と向き合う姿を丁寧に描いたドラマでした。
働くパパママにとって子供が病気になった時にどうするかは切実な問題で、毎回身につまされるようで見るのがツラかったという意見もあったようです。
後半になるにつれ、2人の男性の間で揺れ動く桃子のピュアさが描かれるようになりました。
成宮寛貴さんや速水もこみちさん扮する役柄に惹かれる方も多かったようですね。
そして桃子が抱える実母との関係がどうなるのかも見どころのひとつでした。
今回は37.5℃の涙の最終回について私なりの考えを書いてみたいと思います。
母親を歪んだ感情に走らせた理由
なぜ、ここまで桃子を虐待ともいえる冷遇、ネグレクト状態にしてきたのか、やっと理由が明かされました。
-桃子を身ごもった時に父親が浮気をした-
その事実を母は桃子のせいだと思っている、それが理由でした。
父親に向けられない憎しみが、桃子に向けられたということが理由なのでしょうか。
生まれて来なければ良かった子なのよ、と言われたのに、罪の意識を感じる桃子は、虐待を受けた子供の典型のようで、胸が痛くなりました。
実際、実母との関係に悩む人は多く、この母親と同じように、こどもを完全に支配下に置こうとする親は結構多いようです。
厄介なのはその支配に子供自身が気づかず、抱え込んでしまっている人が多い。
桃子も自分が置かれていた状態を誰にも話せずにいました。
正直、自分に置き換えてしまい、そんなことをしていないだろうか...と不安になりました。
どうしても叱っている時は命令口調になってしまいますから、私の鬼の形相が怖くて(汗)従っているだけなのでは、と。
自分の子供を所有物だと思ったことはありませんが、この先、気を付けよう、と心に誓いました。
病児保育士という仕事への誇り
今まで桃子が仕事を通して出会った人たちは仕事、離婚、死別、シングルマザー、親同士の再婚など、それぞれ問題を抱えながらも必死で生きている人たちです。
1話と最終回に出演された、中越典子さん扮するキャリアウーマンが、実際に病児保育を利用されている典型のようですね。
仕事を理由に病児保育に預ける自分の娘を母親失格、と実母が烙印を押す場面がありましたが。
子供が熱を出した時は、親がそばにいて、看病してやるのが一番。
というような言葉を、中越さん演じる母親の実母と桃子の実母が同じようなセリフを言ったのは、ただの偶然ではないと思います。
なかなか認知されない、今の病児保育を取り巻く根底にある難題を象徴した言葉なのではないでしょうか。
桃子は最終的に母と決別し、その難題を抱えた病児保育士として、生きていくことを決意します。
あの母に病児保育士のことを否定された時、初めて母に反抗し、そこから決別になる場面はだったことも象徴的ですね。
母親は桃子が帰ってくると信じているようですが、仕事に誇りを持ち、兄姉とのわだかまりも溶け、親友もいる今の桃子なら大丈夫、仕事を通して本当に桃子は強くなりました。
自ら選んだ桃子の恋
親友にそそのかされたこともあったけれど、ちゃんと自分の言葉で、篠原さんにも、朝比奈さんにもちゃんと伝えられたことは大きいです。
笑顔さえもまともにできなかった女の子が、自分の感情を相手にちゃんと伝えられるようになったこと、本当にすごいです。
転勤に一緒についていく、というのはびっくりしましたが、そういえばウチも転勤を機に結婚に至ったことを思い出しました(汗)。
最高の笑顔を取り戻せた桃子の未来が、病児保育の未来と同じように明るいものになってほしいと願うばかりです。
編集後記
このドラマに出てくる訪問型病児保育には実際モデルとなった会社があるようですので、それを元にもっと病児保育の必要性を訴えてくれたら、と思います。
恋の行方は私も朝比奈さんがイイと思っていたので、最後のシーンの頭ポンポンには年甲斐もなくキュンとしてしまいました。
この時間帯のドラマはこれで最後だそうで、続きが見たい、と思っても難しいのかもしれませんが。
病気の子を預かってもらって当たり前、という世の中に早くなってほしいので、普及のためにも37.5℃の涙の続編を期待したいと思います。